日々のつぶやき

2009-03-23

買い物メモ:書籍編(1〜3月 順不同)

といっても本は全然読んでなかったり。困ったもんだ。

米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件』上・下巻(創元推理文庫)
小市民シリーズ第3作。瓜と狐の間には、たった3画にして超えられない壁が存在することを、狐のつもりが瓜でしかない読者に思い知らせる話。私は瓜の側に立つ(不本意ながら)。

堀江敏幸『おぱらばん』(新潮文庫)
折々のできごとが導く書物の記憶が、過去や異郷の記憶を連れてきて、今ここにいることの自明性が揺らぎ出すという作者のいつものアレ。その語りの胡散臭さも含めた完成度は本作が最も高いかも。
そんなことよりいつものアレといえばコレ。

あるいは事件以来たびたびすれ違っていた、黒い髪のロシア娘に年甲斐もなく恋したとでもいうのだろうか。(略)
彼女をください、あれは私の少女です、洋梨を盗んだ私の少女なんです……

毎度ながら、堀江先生のガチロリっぷりには頭が下がります!

あと自分で買った本じゃないけど、実家にあったので。

トム・ロブ・スミス『チャイルド44』上・下巻(新潮文庫)
スターリン体制下のソ連では存在しないはずのシリアル・キラーを追う捜査官の苦闘を描いて大変面白かった。とはいえ、これはやはりロシア人によって書かれるべき物語でなかったかとは思う。作者が20代イギリス人のテレビ脚本家ということを知れば「歴史の後出しジャンケン」というか「お笑い北朝鮮」的な色眼鏡を感じなくもない。本書がロシアで禁書扱いとなったのは、政治的脅威よりも「俺たちがスターリンを批判するのはいいが、お前らが笑いものにするのは許さん!」という愛国心の発露ではあるまいか。

2 件のコメント:

mft さんのコメント...

堀江先生、なんか表現が直接的になっているような…今後にますます期待です!

marron(風街まろん) さんのコメント...

もう隠す気も無いよね(笑)。堀江先生にはいつか「欧州美少女紀行」を書いていただきたい(会田我路的な意味で)。