消化中って何のノルマだよ。
YOU『南向き』(96年)
フェアチャイルド時代の戸田誠司流エレポップから遠く離れて、曲提供者と演奏陣の異様な豪華さと振り幅に驚いた。本人がプロデューサーに名を連ねており、当時の音楽に向かう意欲の高さを思わせる。YOUのロリータ声と、現在のイメージからはずいぶん遠い乙女な歌詞が、メンツから想像するより手堅い楽曲と編曲に似合う、とてもよく出来たポップアルバム。そのぶん存在感はバンド時代より薄れているようにも思う。キリングタイム勢をはじめとする多士済々の中、聴けばその人と一発でわかる鈴木茂のスライドには心躍らされた。そのギターの聴ける「悪い人」がベストトラックかもしれない(いや、どれも普通にいい曲なんですよ)。
いい人なんて嫌い 私を傷つけてもくれない
頭で言葉選ぶのは もうひとつ嘘をつくようなもの
いい人なんて嫌い 私との恋が終わる時
悪いのは僕なんて言うから 自意識過剰だって思う
なんて歌詞は今だと、肉食系女子からの草食系男子に対する叱咤に聞こえたりも。
全般に塩谷哲編曲の、ポップスに少しだけ異国の風を吹き込むようなセンスが光る。
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