ひとの並べた刺身を並べ替えてタンポポをのせ直す過酷な作業が一段落。その作業の合間に3度の食事を作り、早朝セールに出かけ、庭いじりを手伝うという日々がここしばらく続いていた。観光客のふりの市内巡りも、食べ歩きもまったくしていない。唯一の外食的なものは、近所の生協で売ってる3割引のパック寿司くらいのものだ。しかし、この一人前400円足らずの寿司が馬鹿にできないのだから恐るべし。函館よ、私にお前の本気の寿司力を見せてくれ!金はないけど!
駅前のデパート「棒二森屋」の改装前食品セールに父と出かける。同業老舗の丸井今井の経営危機が伝えられた昨今、この棒二デパートも親会社の意向で撤退するというニュースが流れ市民をやきもきさせたが、どうやら誤報であったらしくひと安心。それはそれとして、朝10時の開店前からかなりの数が列を作り、売り場が開くや人が殺到、1つ198円の雪印バターは瞬く間に売り切れた。だがしかし、そのバターを2箱、北海道のブランド米「おぼろづき」5kg1480円を2袋確保。海岸通りを自転車を連ねて帰路に。パチンコ屋と車屋と回転寿司が作る櫛の歯の間に、凪いだ海がストロボのように現れる。
まあ外出しなくても、庭に出るだけでそれなりに満足。ドアを開けると花の香りが漂う。とりわけコリンゴのそれが強い。
今はツツジが満開を迎え、そろそろ盛りを過ぎるあたり。
わが家の庭もこうしてみると野趣に富んでいるか。
トマトの苗の植え付けをしていたら、土を掘る父のシャベルがカチリと音を立てて、ずいぶん前になくしたバターナイフが発掘された。生ゴミに紛れて一緒に埋めてしまったらしい。ステンレスだから錆びてない。
日々のつぶやき
2009-05-28
錆びてないナイフ
2009-05-18
似てるようで似ていない
所用で外に出たついでに新雑誌『ゲッサン』(小学館)を立ち読み。とりあえず『あずまんが大王』新作だけ読んだのだが面白い。連載が終わらず今も続いていればこのような形になっていたのだろうか、本質はそのままに表現が洗練されていた。『よつばと!』休載もこの際我慢しよう。
ところで、『BSマンガ夜話』の『よつばと!』回で、いしかわじゅんが「『あずまんが大王』はよくある萌え4コマ(という表現はしていないが)から一歩も出ていず面白くない。『よつばと!』はそこから踏み出したことがエライ」という主旨の発言をしていて、他の出演者も特に反論しなかったと記憶している。
「萌え4コマ」というジャンルの嚆矢のひとつともいえる『あずまんが大王』に「萌え4コマだから悪い」と言わんばかりの評価はどうかと思うが、ある年代以上の読み手にとって「どれもこれも似たようなもの」に見えてしまうのは仕方ないことだろう。だが、『まんがタイムきらら』を1冊買って隅々まで読めば、それぞれの作品に(薄くとも)作者なりの個性があり、作品ごとに主観的な優劣を付けることもできるのがわかるはずだ。
同じ4コマフォーマット、同じような絵柄、同じようなキャラクター配置でありながら、それなりの個性を持った表現が生まれる。これは、同じようなメロディ、同じようなコード進行、同じようなリフを持つ、いくつもの名曲を送りだしてきたロックの歴史に通じるものがある。だが、ストーンズとザ・フーの区別のつかない人は、現実に山ほどいるだろう。様式性と抽象度が高くなるほど聴き分けは難しくなる。テクノやヒップホップならなおさらだ。
このように、ジャンル特性に則った表現の差異を味わい分けるには、受け手にリテラシーが要求される。それを持たなくてもまったく問題はないが、門外漢の自覚があるならば、己の目や耳の絶対性を疑ってみる謙虚さがあっていい。いしかわじゅんは「萌えリテラシー」を持たない人だろうが、それとは別に、様式より前衛を好む美意識の偏りもあるのではないか。例えば、中期ビートルズの果敢な前衛性を称揚するために、ロックンロールとR&Bの様式への愛を率直に表明した初期ビートルズの音楽を軽視してみせる態度にそれは似ている。一愛好家なら(もったいないと思うけど)それもいいが、批評として機能する言説なら問題がある。
私は『よつばと!』好きだけど、『あずまんが大王』もやっぱり好きだ。大阪!
2009-05-17
人工生命M1号
木造モルタルの古びた寄宿舎の、複雑に入り組んだ廊下を手繰り、割り当てらしき部屋に入る。するとなぜか女子2人と相部屋。しかも私は学生ではなく、現在のハゲヒゲ上下逆さ面の中年男のままだ。こちらを怪訝そうに眺めつつ「なにあれキモーい」とささやき交わす内容があからさまに伝わり赤面する。次第に女子の数が増え始め、ますますいたたまれずドアの外に出ると、部屋番号が目に入る。どうやら部屋を間違えたらしい。あわてて荷物を抱え飛び出すと、背中に侮蔑を込めた笑いが降りかかってきた。
——というところで目が覚めた。問題は、どうやらこれが淫夢だということだ。マゾ?
2009-05-15
Scatterbrain
今朝も早よから父と自転車並べスーパーの朝市へ。ほぼ快晴だが風は冷たく、手袋なしにはハンドルを握れない。開店前のパチンコ屋の前にたむろする若い衆を横目に、緑なす河川敷の脇を抜けてスーパーに到着。我々が列の一番前だったが、ドアが開くや背後のジジババがラッシュ、ガシガシ当りながら追い抜いていく。奴らフィジカルもメンタルも強いわー。とはいえ無事に醤油1.8リットル195円を2本と、甘口紅葉子(たらこ)100g195円を300gゲット。やりとげた達成感を胸に、ぬるみ始めた空気を掻き分けつつ帰宅。ついでに買ったかりんとうをかじりながら書いている。
そういや店内BGMが、ジェフ・ベック「スキャッターブレイン」全パートをシンセで作り直した不思議な代物だったが、例の高速ユニゾンのところとか作り手の情熱を感じて面白かった。この手のBGMでは80年代MTV時代の洋楽ものはわりと耳にするんだけど、70年代は珍しいか。昼間どころか朝からスーパーに並ぶような、洋楽ファンの中年客の需要を見越したのに違いない。なんというニッチ。ないか。
かの伝説的なウドーフェスでの演奏。SCATTERBRAINでこれが検索トップというのも凄い。
2009-05-14
CD消化中
消化中って何のノルマだよ。
YOU『南向き』(96年)
フェアチャイルド時代の戸田誠司流エレポップから遠く離れて、曲提供者と演奏陣の異様な豪華さと振り幅に驚いた。本人がプロデューサーに名を連ねており、当時の音楽に向かう意欲の高さを思わせる。YOUのロリータ声と、現在のイメージからはずいぶん遠い乙女な歌詞が、メンツから想像するより手堅い楽曲と編曲に似合う、とてもよく出来たポップアルバム。そのぶん存在感はバンド時代より薄れているようにも思う。キリングタイム勢をはじめとする多士済々の中、聴けばその人と一発でわかる鈴木茂のスライドには心躍らされた。そのギターの聴ける「悪い人」がベストトラックかもしれない(いや、どれも普通にいい曲なんですよ)。
いい人なんて嫌い 私を傷つけてもくれない
頭で言葉選ぶのは もうひとつ嘘をつくようなもの
いい人なんて嫌い 私との恋が終わる時
悪いのは僕なんて言うから 自意識過剰だって思う
なんて歌詞は今だと、肉食系女子からの草食系男子に対する叱咤に聞こえたりも。
全般に塩谷哲編曲の、ポップスに少しだけ異国の風を吹き込むようなセンスが光る。
殊能将之先生の
農業ブーム便乗映画企画が面白。(リンク先の下の方)
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/LinkDiary/links0905.html
特に「監督が〜」のくだりで笑った。ていうかこのネタで新作を書けばいいのに。こうした顛末とは一切無関係に、石動戯作探偵の的外れな推理劇が展開するみたいな。犯人は田中義剛(ネタバレ)。
2009-05-13
購入メモ
漫画
こうの史代『この世界の片隅に』下巻(双葉社)
全3巻まとめて読み返したいのに手元にないのがもどかしい。人が生きる日々の営みは「その時」を過ぎても、失われたものとともに緩やかに続いていくことを描いて、井上光晴『明日』を超えたのではないかと思う。
桜井のりお『みつどもえ』7巻(秋田書店)
とらのあなの特典イラストカードかなり欲しいんですけど! 東京に戻ったら買い直そうかなー。しかし吉祥寺店は知らぬ間に潰れていたのだった。それにしてもチャンピオンコミックスの品質は紙といい印刷といいカラーページといい素晴らしい。手書き文字の「ママにボクのブリーフをはかせてみました」もはっきり読み取れるよ! マーベラス!
CD
YOU『南向き』(96年)
ショコラ『ハムスター』(99年)
リップスライム『TOKYO CLASSIC』(02年)
THE BRAND NEW HEAVIES/SAME ('90)
FUGEES/BLUNTED ON REALITY ('94)
ARRESTED DEVELOPMENT/THE HEROES OF THE HARVEST ('01)
NIKKA COSTA/CAN'TNEVERDIDNOTHIN' ('05) ※CCCD
以上、文教堂のレンタル流れワゴンで各100円。まだ聴いてない。