日々のつぶやき

2008-04-07

『りぼん』4月号雑感(どひー

ドミンゴさんとあゆみさんから誕生日プレゼントにいただいた『りぼん』4月号を読む。そもそも身近に女児がいるわけでもない中年男が、付録付き少女漫画誌を読む機会など、望んで得られるものでもない。いやそんなこともないが望んだことはない。ないぞ。ともあれ数十年ぶりに読む『りぼん』、これが普通に面白かったのだ。以下に雑駁な印象を連ねてみる。

意外にメディアミックス作品が少ない。90年代にライバル誌の『なかよし』が『セーラームーン』で画期的な成功を収めて以来、『りぼん』や『ちゃお』などの競合他誌もアニメ化に向いた企画に一定の注力をしてきたが、現在の『りぼん』にはアニメ化された『アニマル横丁』や、現在も放映の続く『ちびまる子ちゃん』などがあるものの、主力はオーソドックスな学園恋愛ものが占めている。そこから魔法やSFなどの非現実的な要素が(ギャグ漫画と新人作品を除き)排除され、あくまでも実現可能なファンタジーに留めているのは、『りぼん』に限らない集英社少女漫画の送り手の見極めや見識だといえるだろう。

読者層は意外に高い。冒頭のグラビアページには「りぼんガール」なる小2から小6までの(!)専属モデルたちが掲載されており、対象読者の年齢にも重なっていると思われるのだが、実際の作品の主人公たちは中学生から高校生にほぼ限られている。小学生の女の子にとって、憧れを投影するのは年上のお姉さんたちの日常であって、等身大の小学生ではないのだろう(※)。そう考えれば小学生の仕事と恋愛の悩み(なんだそりゃ)に向き合った『こどものおもちゃ』はなかなかに冒険的な作品だったのだなあと思う。もっとも、中学生や高校生を描いた『りぼん』を、中学生や高校生が読んでも何らおかしくない、というより本来の読者であるともいえる。そう考えれば読者層の幅はずいぶんと広く想定されていそうだ。

『りぼん』のエースがわからない。連載陣の名前が、過去にアニメ化された作品の作者を除いて、誰一人見覚え聞き覚えがない。無論ネット上の情報も多くはない。いわゆる漫画ファンのトピックがいかに狭い範囲のものであるかが知れる(まあネットでレビューを書くような人は『りぼん』を読まないだろう)。それはさておき、『りぼん』は何気に少女漫画の表現を革新するような、あるいは個性的な作家を数多く生んでもきている。古くはもりたじゅん、一条ゆかり、大矢ちき、山岸凉子の少女劇画(という言葉はないのだがとにかく作風が濃い)時代から、一世を風靡した陸奥A子、太刀掛秀子、田淵由美子らのおとめちっく路線、近年でも谷川史子や、かの矢沢あいを輩出している(ていうかえらく間が空いているのはいかんともしがたい)。そういう、雑誌全体の色を染め上げるような中心作家というのが今は誰なのか、一見の読者には見当たらない。

とはいえどの作品も突出した部分こそないものの不満もなく楽しく読めてしまうのは、この先『マーガレット』『別マ』『Cookie』『コーラス』『YOU』へと続いていく、集英社の少女漫画の入口・基盤として『りぼん』を位置付ける編集意図の正しさを物語ってもいるのだろう。『ちゃお』や『なかよし』のメディアミックス路線が予め「消費/卒業されるもの」としてあるのに比べると、集英社少女漫画ピラミッドの存在感の確かさが、この『りぼん』の王道ぶりにも窺えるのではあるまいか。

と、総論として語れても、個々の作品感想というのは、あまりにも普通なぶん非常に語りにくいのでした。普通に面白かった、としか。ちなみに付録はいつかどこかのお嬢さんに届くことを願って託しましたよ。
ところで広告ページで知ったのだが、『マーガレット』第7号にタカハシマコが読み切りカラー40Pて! 集英社の少女漫画誌に描いた最初のコアマガジン出身者じゃないかしら。いやいつもの作風とは思うがちょっと読んでみたい。『りぼん』と何の関係もないですね。

※アニメ『セーラームーン』シリーズが4年目『SuperS』で失速したのは、主人公格にそれまでマスコット的存在だった「ちびうさ」を据えたからだと思っている。視聴者の女の子たちに必要なのは憧れのお姉さんとしてのセーラームーンであり、彼女を貶める生意気な幼女ではなかったのだ。ますます『りぼん』と関係ないですね。

昼食

午後遅くに吉祥寺「陳麻家」にて陳麻飯+ミニ坦々麺セット。夕食はなし。深夜に苺+プレーンヨーグルト。