日々のつぶやき

2008-04-13

再武装

あまりの寒さに一度は脱ぎ捨てたトックリセーターとモモヒキとニット帽を再び着用。寒の戻りというのかな。
昼食は前日の残りのミネストローネ。加えて100円マックの紙のような味のするチーズバーガーとプレミアムローストコーヒー。夕食はカルボナーラと中華風スープ。ボウルに卵・生クリーム・粉チーズ・黒胡椒を攪拌して混ぜ合わせておく。潰した大蒜、ベーコン、舞茸をオリーブ油で炒める。大蒜は本来は香りを移して取り出すのだが、もったいないのでそのまま具に。茹で上がる前のパスタを茹で汁ごとフライパンに合流し、小分けにしたブロッコリーとともに加熱。汁気が無くなったらボウルでソースと混ぜ合わせカルボナーラ完成。しかしブロッコリーの酸味というかえぐみが全体に移ってしまいやや失敗。今度は別茹でにしよう。スープには溶き卵を入れたのでカルボナーラと重なってしまった。

何故にフュージョン特集(答:安いから

久しぶりに三鷹パレードにて猟盤。レコードを買うのもまた久しぶりだ。せっかく大きなレコード棚を買ったのに、収納にまだ余裕のあるレコードは増えず、ブックオフで拾ったCDが溢れて積み上げられている始末。カオス再来か。しばらくアナログ盤に復帰しようかな。

THE CLAUS OGERMAN ORCHESTRA/GATE OF DREAMS('77) 800円
クラウス・オガーマンが「大オーケストラとジャズ・グループのために」書いたバレエ音楽"SOME TIMES"(72年初演)を、クロスオーバー/フュージョンの時代にスタジオで再演したのが本作。この時代のシーンにはラロ・シフリンやエウミール・デオダート、ドン・セベスキーなどオーケストレーションに優れた作曲家/編曲家が数多いが、彼らは基本的にはキーボード奏者であり、管弦は自身も一員であるジャズ・コンボの演奏を拡張・補完するものだった。オガーマンの場合はそうしたジャズ・プレイヤー性から自由であり、流麗な管弦も躍動的な電気楽器も、それらが象徴するクラシックやジャズ、R&Bといった多様な音楽性も、自らの譜面の構成要素として均等に配置されている。フランス印象派を思わせる管弦の優美さと、鋭く切り込むジョージ・ベンソンやジョン・サンボーン、ジョー・サンプル、マイケル・ブレッカーらのスター・プレイヤーによる演奏が、もつれ合い溶け合い風景を塗り替えながら見事にひとつの絵を描き上げていく様は圧巻。クラシックの素養をいかに電化コンボに融合するかという理想例として坂本龍一が影響を受けたのもむべなるかな。質の良いオーディオで聴いてみたくなるが、CDで買い直すのが安上がりか。

HERBIE HANCOCK/MAN CHILD('75) 500円
ジャズファンクの地平を拓いたヘッドハンターズのメンバーに、ハーヴィ・メイソンやジェイムズ・ギャドソン、ルイス・ジョンソンにウェイン・ショーター、ワウ・ワウ・ワトソンにスティーヴィー・ワンダーまでを加えて展開される、さながら「拡張版ヘッドハンターズ」な一大ジャズファンク絵巻。多彩なゲストを迎えながらイメージを拡散させることなく、ファンクを硬い核として緊密に組織された音の塊が、グルーヴィかつクールに疾走するのはひたすら快感だ。「カメレオン」に続きハンコックのシンセ・ベースに宿るファンクネスも健在。ジャケに描かれた仏像には複雑な気分になるが。

以下4枚で1050円
STUFF/LIVE STUFF('78)
一斉を風靡したスタジオ・ミュージシャン集団の日本公演ライヴ盤。大野雄二によるライナーが興味深いので引用。

大人がやるには何かたわいないような音楽を一生懸命にやっている。だけど、そのたわいないようなワンパターンを何度も何度も繰り返してゆくことによって聞き手を魔術にかけてしまうようなところがあります。(略)
例えばリチャード・ティー。彼のピアノは難しさがないがとてもやさしい。(略)こういう人は今まで、僕らの世界にはいなかったタイプで、かつてはランクが一段階下がったポップスしか出来ないような人に思われていました。ところが、僕は彼のうなるピアノを聞いた時、昔、マッコイ・タイナーを見て腰を抜かした程に驚きました。(略)
ここには「大人がやるには何かたわいないような音楽」が、大人がやるに相応しい音楽であるところのジャズに与えたインパクトが率直に語られている。それはまさに「クロスオーバー/フュージョン」の出自そのものだ。
もっとも、今ならスタッフはフュージョンではなく「ジャム・バンド」のカテゴリに入れられるかもしれない。ゴードン・エドワーズとスティーヴ・ガッドが強靱なグルーヴを練り上げ、コーネル・デュプリーとエリック・ゲイルの二色のギターが絡み合い、リチャード・ティーのピアノが打楽器のようにタイムを刻みつける。その熱はスタジオ職人ではなく、紛うことなきライヴ・バンドのものだ。

CORNELL DUPREE/SHADOW DANCING('78)
そのスタッフのメンバーであるコーネル・デュプリーのリーダー作。ウィル・リーとクリス・パーカーのリズムにストリングスとホーンズが載った音は、意外に歌謡色というかディスコ色が濃厚で、78年という時代を感じさせるものだ。そういえばスタッフのプロデューサーはかのヴァン・マッコイだったっけ。別にそれが悪いわけでもなく、デュプリーのフィンガー・ピッキングによるクリーンでパキパキした音色のギターは、実にキャッチーなフレーズを奏でて文句なしに楽しい。スティーリー・ダン"PEG"をカヴァーしているが軽いことこの上なし。

BEN SIDRAN/LIVE AT MONTREUX('78)
モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ盤。ベン・シドランをジャズ・ピアニストと呼ぶのかAOR歌手と呼ぶのかよくわからないが(俳優や物書きとしてのキャリアもあるらしい)、トニー・レヴィンb、スティーヴ・ジョーダンds、スティーヴ・カーンg、マイク・マイニエリvib、そしてブレッカー・ブラザーズという錚々たるメンバーを従えて、シドランはジャズのバックグラウンドを持つピアニスト/歌手として見事にスタイリッシュに決めてみせる。同様の存在としてドナルド・フェイゲンが思い浮かぶが、フェイゲンのような変態性はなく、よりクールでつれない趣でもある。

GROVER WASHINGTON,JR./SOUL BOX VOL.2('73)
後年ビル・ウイザーズとともに"JUST THE TWO OF US"の大ヒットを飛ばし、スムース・ジャズの礎を築いたとされるサックス奏者が、73年にKUDUからリリースした2枚組ライヴ盤の(76年にバラ売り再発された)片割れ。ちなみにオリジナルのボックスは千円以下では買えなかったような。で、確かにスティーヴィーの"YOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE"を奏でるグローヴァーのサックスは相当に甘々攻撃なのであるが、リリカルなばかりではなく相当にソウルフルでもあり。何せ面子はボブ・ジェームズp、リチャード・ティーorg、ロン・カーターb、ビリー・コブハムds、エリック・ゲイルg、アイアートper、ヒューバート・ロウズfl、ランディ・ブレッカーtpというCTIオールスターズ、ムード歌謡に終わるはずもない。特にジェームズ指揮の管弦とうねるグルーヴがせめぎ合う後半は、電化されたジャズ・オーケストラともいうべきCTIレーベルのコンセプトを色濃く感じさせる。そしてコブハム作曲の"TAURIAN MATADOR"という、主役が誰でも構わぬ高速ドラムの暴走機関車ぶりで幕となる。これぞ「クロスオーバー」の醍醐味と言おうか言うまいか。