作者の代表作『ひみつの階段』とハリーポッターが出会ったような、ビクトリア朝英国風ファンタジー。魔法使いとして生まれる者と、その力を制御する者とが対になった世界で、自由に力を行使できないことに不満を募らせる少女・セレスト。そんな彼女が自分の背負う大きな役割を知り成長していく。
力への憧れと力への畏れ、力を持つことの意味。才能の自覚とそれに伴う社会性の獲得という主題をきっちりと全3巻にまとめていて、今どきのファンタジーとしては淡泊に感じるほどの手際よさだ。持てる者の傲慢や持たざる者の怨念といった思春期の主人公たちの情念を描くには、紺野キタの筆致は清潔すぎる気もする。とはいえ作者のまっとうな問題意識と美しい絵、深刻な事態にもどこか飄々とした(良くも悪くも)軽みのあるキャラクターで気持ち良く読んだ。
ところで、この紺野キタ作品が萩尾望都、『群青学舎』の入江亜季が竹宮惠子、『イムリ』の三宅乱丈が佐藤史生と、時を同じくして「24年組」リバイバルを強く匂わせる作品群が並んでいるのは、偶然とはいえ面白い。
日々のつぶやき
2008-03-28
紺野キタ『Dark Seed —ダーク・シード—』全3巻(幻冬舎)
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漫画
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